『佐久間宣行のずるい仕事術』を読んだ

まえがき

元テレビ東京のテレビプロデューサー佐久間宣行さんによる著作 『佐久間宣行のずるい仕事術』 を読んだ。 佐久間さんは現在 YouTube で自身が企画した動画を公開しているのだが、 その中の一つに、あるお笑い芸人の方が佐久間さんを演じる動画がある。 そのお笑い芸人の方が時折含蓄のあることを語るのだが、 それを見た佐久間さんが「俺が本で書いたやつだ!」とか 「俺がインタビューで言ったやつだ!」といったコメントをしているのを聞いて興味を持った。 書籍ページを見ると、副題として「僕はこうして会社で消耗せずにやりたいことをやってきた」とあり、 帯には「誰とも戦わずに抜きん出る」ともあり、読んでみたくなった。

雑感

まず、著者がテレビ東京に入社してすぐに、会社での仕事が向いていないと感じていたことが書かれていて意外に感じた。 YouTube の動画に映る、豪快に笑う姿からは想像できないものだった。

著者は入社当初、テレビ業界で働くことや、会社員として働くことが向いていないと感じていたらしい。 会社をやめようかという考えが頭をよぎったこともあったようだが、 その時「昔、おもしろくて憧れた世界に指をかけてもいない。このままじゃやめられない」であるとか、 「自分がおもしろいと思えるものを世に出したい。」という思いが生じたと述べられている。 本書で紹介されている仕事術は、苦手な環境の中でどうやって自分がやりたいことをやるか考えた末に生まれたものである。 やらずにすませたいことを、やらずにすませるという意味で「ずるい」と銘打っている。 ただ、それは決してラクをするであるとか、サボることではない。 組織の中で自分がやりたいことをやるための工夫をこらし、 自分が作りたいものを作るための努力は惜しんでいない。

読み進める中で、著者のこの思いは、字面では汲み取れないくらい強いもののように感じられた。 それは、わかっていてもなかなかできるものではないものが多く紹介されていたからだ。

例えば「チャンスのためにはイヤでも謝る」という項目がある。 謝罪するときに言い訳などせず、誠意を尽くして謝るのがよいということだ。 これについて次のように述べている。

いっときの感情に流されず、どうすれば仕事がやりやすくなるか、チャンスを掴めるかをトータルで考える

感情を抑えることについて下記のようにも述べている。

大切なのは相手に勝つことではなく、障壁なく仕事ができる環境を手に入れること。僕が自由に働けたのは、だれのメンツも潰さなかったからにほかならない。

だれにも嫌な思いをさせていないし、恨みも買っていないから、悪い評判を立てられないし、いざというときみんなが協力してくれる。フリーランスになってから、その恩恵をとくに痛感している。

私の経験上、感情を制御できている同僚はかなり少数だったし、 私自身、難しいことだと感じている。 また、仕事は縁であると言い、縁はこうした努力によって作られる。

運は愛想と誠実さによって架けられた「信用」という名の橋を渡ってやってくる。

人の機微を汲み取り、誰とも戦わず、仕事には真摯に、誠実に取り組むというのは なかなかできることではないと思う。 「ずるい」と銘打っているものの、大変な努力だ。 この大変な努力の中で得られた仕事術を容易に得られる読者の方がずるいような気もする。

さいごに

本書は組織で働く人にとって参考になることが多い本であると感じた。 これまで製造業の生産技術部で働いたり、プログラマとして働いた私にも学ぶところが多かった。 また、様々な職位の人にも得るものが多い本だと思う。

読むきっかけになった動画

【奇跡】佐久間Pの代役オーディション カカロニ栗谷がまさかの奇跡を起こす!

佐久間さんに似ているカカロニの栗谷さんが佐久間さんを演じて、共演者を信じさせられるかというドッキリ企画。 おもしろさに加えて感動の要素もあり、それが本書を読みたくなる要素でもあった。 些細な弁当づくりの仕事を丁寧にやって報われたという話に少しだけ触れられている。

【奇跡再び?】カカロニ栗谷 佐久間PをおろしてK-1ラウンドガールを感動で泣かせられるのか!?

女性と話すのが苦手なカカロニ栗谷さんが佐久間さんのように振る舞うことによって、 女性と普通に話せるようになるのか試してみる企画。 キャラは他人が決めることという栗谷さんの発言に 佐久間さんが「俺が本に書いたことだ!」とコメントしている。 学生時代、自分には制作の才能が無いと感じていた佐久間さんが、 記念受験で受けたテレビ局の採用面接の場で制作が向いていると言われて テレビ局で働くことにしたというエピソードに通ずるものがある。

ラジオ

佐久間さんのラジオもおもしろい。

佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)

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『佐久間宣行のずるい仕事術』