クリフトンストレングス・テストを受けてみた

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まえがき

キャリアの棚卸しの一環とでも言うか、今後のキャリアを考える材料を増やすため、 クリフトンストレングス・テスト を受験してみた。 クリフトンストレングス・テストとは Gallup 社が提供する、受験者の資質を明らかにするテストである。 以前はストレングスファインダーという名称だったが、今は変わったようだ。 Gallup 社は人の資質を下記のとおり大きく 4 つの領域にわけている。

  • 実行力
  • 影響力
  • 人間関係力
  • 思考力

それぞれの領域の中に細かい資質が定められており、その資質はあわせて 34 種ある。 受験することで各資質の高さ、その資質の詳細な説明、 その資質を活かすための行動、その資質を持つ人が注意すべき点が記載されたレポートを受け取ることができる。 ここでは、その結果と雑感を書く。

上位資質

上位 10 項目は下記のとおりであった。 なお、カッコ内の単語はその資質が属する領域を示す。

  1. 内省(思考力)
  2. 着想(思考力)
  3. 分析思考(思考力)
  4. 運命思考(人間関係力)
  5. 成長促進(人間関係力)
  6. 戦略性(思考力)
  7. 慎重さ(実行力)
  8. 親密性(人間関係力)
  9. 活発性(影響力)
  10. 最上志向(影響力)

概して思考力に強みがある。 以下、各資質についての簡単な説明と雑感を記す。

1. 内省

Gallup 社が定める定義は下記のとおり。

「内省」の資質が高い人は、知的な活動に多くの時間を費やします。内省的で、知的な議論が好きです。

参照: 内省

レポートには、優れた教育者であるとも書かれていた。

知的な議論が好きというのは、とても納得がいく。 一方で優れた教育者ということは意外であった。

2. 着想

Gallup 社が定める定義は下記のとおり。

「着想」の資質が高い人は、新しいアイデアを考えるのが大好きです。見た目には共通点のない現象に、関連性を見出すことができます。

参照: 着想

レポートには、旗振り役になることが多いとも書かれていた。

新しいアイデアを考えるのが好きという点では、いろいろと夢想することがある。 人工生命を作るとか脳のシミュレータを作ることで認知を変えるとか、 満員電車を無くす方法とか、いじめを無くす方法といったことだ。 化学と数学を専攻し、生産技術部やシステム開発部署で働き、 多様な書籍を読むなど、様々な経験がアイデアの源泉になっていると思う。 旗振り役という点についても、過去の仕事を思い返してみると 自分にイニシアチブがあるほど意欲が高かった。 前職では、ゼロベースで考え、私が入社した際に存在したオペレーションやツールを作り直した。

3. 分析思考

Gallup 社が定める定義は下記のとおり。

「分析思考」の資質が高い人は、物事の理由と原因を追求します。状況に影響を与える可能性のあるすべての要素を考慮に入れる能力を備えています。

参照: 分析思考

結論を出す際に、根拠に基づいて考える能力があるということであるようだ。 定性的な評価より定量的な評価を下そうとするとか、 データが好きでデータのパターンを探すことを好む特性があるらしい。 また、データを分析する、規則性を発見する、アイデアを整理するといった仕事が良いらしい。

確かに、データ分析で予測に取りかかる前に、データをこねくりまわして可視化するのが楽しいと感じる。 仕事では自分やチームが何に時間を使っているのか記録し、時間の使い方が適切であったか振り返ることをやっていた。 また、定量的な評価が難しい場合でも、ある事象が発生する確率とそれにより得られる効用の積の和(期待値)を考え、できるだけ定量的な評価をすることを心がけている。 使った記憶はないが、状況によってはフェルミ推定を使いたいとも思う。

4. 運命思考

Gallup 社が定める定義は下記のとおり。

「運命思考」の資質が高い人は、あらゆる人や物事は互いに結び付いていると考えています。この世に偶然というものはほとんど存在せず、ほぼあらゆる出来事には何らかの意味が存在すると確信しています。

参照: 運命思考

確かに私は、全ての事象には原因があり、偶然なことは一つもないと考えているところがある。

例えば、人が持つ意思にもそれが生まれる原因があると考えている。 人の意思とは脳のはたらきであり、ニューロンの間の電流である。 そして電流は物理現象である。 ニューロンの物理特性は分子構造によって決まるし、 ニューロンのネットワーク構造は化学反応により作られる。 分子構造は原子間の電子の配置であるので、ミクロで見れば物理現象である。 つまり人間の意思は物理現象であり、原因がある。 人間は、自分の意思は自分が生み出したものだと考えがちだが、 そうではなく、その意思が生み出される原因があったからで、 実際には自分が生み出したわけではないという考えを持っている。

5. 成長促進

Gallup 社が定める定義は下記のとおり。

「成長促進」の資質が高い人は、他の人の持つ可能性を認識し、それを伸ばします。小さな進歩の兆候を見逃さず、成長の証に満足感を得ます。

参照: 成長促進

自分では全く認識していなかったが、確かに私はこの資質を持っていると強く感じた。 人とやりとりする中で相手を素晴らしいと感じた時に、それを相手に率直に伝えることがある。 それに対し、相手は予想外に驚き、喜ぶということが何回かあったことを思い出した。 私が素晴らしいと感じたことを、相手はそれほどのものと思っていなかったり、 場合によっては価値があることすら認識していないことがある。

6. 戦略性

Gallup 社が定める定義は下記のとおり。

「戦略性」の資質が高い人は、目的に向かうための選択肢を想定することができます。いかなる想定に直面しようとも、適切なパターンと問題点を直ちに予測することができます。

参照: 戦略性

先行きを予測し多くのケースを想定しておくことができるので、それが成功につながるということだった。 選択肢を複数準備しておくということは重要であると認識しているが、 私が、ここに書かれているような素晴らしい能力を持っているようには思えなかった。

7. 慎重さ

「慎重さ」の資質が高い人は、決定や選択を行うときに細心の注意を払います。あらゆる道のりには、危険や困難が待ち受けていると考えています。

参照: 慎重さ

決断するまでに多くのことに注意するので、決断の精度を上げられるということだった。

分析思考のセクションでも述べたが 私は何かを選択する際、ある選択肢をとったとき、どのような事象が、どの程度の確率で発生するか推測し、 発生する確率とそれにより得られる効用の積の和(期待値)を考える。 また、何かを選択する際に、 私の選択が誤りであると主張する人がいたら、どのような主張をするかということも想像する。 複数人が集まって決断する場において全員の意見が一致した場合、 たとえ自分がそう思っていなくても反対意見を表明することを厭わない。 そのような役割を求められれば、躊躇せず引き受けるだろう。

8. 親密性

「親密性」の資質が高い人は、他の人たちとの緊密な関係を楽しみます。目標達成のために友人と努力することから、大きな満足感を得ます。

参照: 親密性

あまり実感がない。 特に、「あらゆる種類の人と付き合うことができます」というところは正反対と言える。

9. 活発性

「活発性」の資質が高い人は、アイデアを実行に移すことにより結果をもたらします。単に話すだけではなく、いますぐ実行することを望みます。

参照: 活発性

上位の資質と相反するもののように感じられ、また、この資質はこれまであまり発揮されていないように思われた。

10. 最上志向

「最上志向」の資質が高い人は、個人や集団の卓越性を高める手段として、強みに注目します。優れたものを最高レベルのものに変えようとします。

参照: 最上志向

私は確実にこの考えを持っている。 苦手なことを克服するために努力をするよりは、 得意なことを伸ばす努力をした方が良いと考えている。 チームであれば、ある人が苦手なことは、それを得意とする別の人がやるのが効率の良い方法だと思う。

下位資質

Gallup 社では下位資質は必ずしも弱みとなるものではないが、弱みにもなりうると説明している。 なお、弱みは「成功の妨げとなるもの」と定義している。 成功を定義しないと判断しようがないが、自分の性質を知るためにも、とりあえず下位資質も確認する。

下位 5 つは下記のとおりであった。

  1. 公平性(実行力)
  2. コミュニケーション(影響力)
  3. 競争性(影響力)
  4. 社交性(影響力)
  5. 包含(人間関係力)

これらの定義を下記にまとめる。

「公平性」の資質が高い人は、あらゆる人を平等に扱う必要性を確信しています。明確なルールを定め、それに従うことで、世界のすべての人を公平に扱おうとします。

「コミュニケーション」の資質が高い人は、一般的に自分の考えを言葉に表すのが得意です。話術に優れ、物事を印象的に説明するのが上手です。

「競争性」の資質が高い人は、自分の進歩を他の人と比較します。コンテストで勝つために、相当な努力をします。

「社交性」の資質が高い人は、知らない人と出会い、惹きつけ味方につけることが大好きです。見知らぬ人と打ち解けて親しくなることから満足感を得ます。

「包含」の資質が高い人は、相手を受け入れることができます。人の輪から外れている人に注意を払い、そのような人を輪に入れようと努力します。

参照:

コミュニケーションが下位になっていることは意外だった。 今までの経験から、説明、進行役、人前で話すのは、他の人より筋が良いと感じていた。 概念を整理するのが得意な人はこれらも得意なはずだと思うのだが、 案外ひとりよがりだったのかもしれない。

今後目指す方向性

上位資質と下位資質が明らかになったので、ここから方向性を考える。

まず、上位 5 つ、下位 5 つの資質の数を、4 つの領域にわけて整理してみる。

上位資質下位資質
実行力01
影響力03
人間関係力21
思考力30

思考力が強く、実行力、影響力が弱いことがわかる。 レポートの説明もあわせて考えると、 自分でよく考え、その結果生み出されたアイデアをもとに、 自分が旗振り役となり、イニシアチブを持って物事を進めていくのが良さそうだ。 起業することは、良い選択肢であるように思える。

前回との比較(蛇足)

蛇足ではあるが、2008 年にも受験しており、その時との比較も記載しておく。

20082023
1収集心内省
2回復志向着想
3内省分析思考
4目標志向運命思考
5達成欲成長促進
6慎重さ戦略性
7適応性慎重さ
8学習欲親密性
9運命思考活発性
10規律性最上志向

この 15 年で大きく変わったことがわかるが、内省についてはどちらも上位になっている。

あとがき

今回クリフトンストレングス・テストを受験して私の資質が明らかになった。 知的な活動やアイデアを考えることを好み、確固たる根拠をもって結論を下すというのはなんとなく認識できていた。 また、下位資質についても同様に認識できていた。 一方で、優れた教育者であるとか、運命思考によって救われる人がいるとか、成長促進の資質があるなど、 コーチングのような資質を持っていたことは意外な発見だった。 また、受験結果をもとにこれまでの言動を思い出すことができ、実りのあるものになった。